物理探査
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解説
宇宙や空中からの物理探査(リモートセンシングとドローン物理探査)
吉川 猛六川 修一酒井 直樹虫明 成生竹下 航
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2024 年 77 巻 p. sp26-sp31

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抄録

 「宇宙や空中からの物理探査(リモートセンシングとドローン物理探査)」というテーマについて解説する。

 まず,衛星リモートセンシングの動向として,民間小型衛星の台頭,衛星コンステレーションの構築,日本の衛星関連プログラムについて述べる。近年,光学衛星やSAR衛星は小型衛星の開発が進み,衛星コンステレーションの構築が進んでいる。これにより近い将来,全世界の常時観測が可能になることを示している。次に,リモートセンシングの活用事例として,防災分野と土木分野におけるSAR活用事例を紹介する。これは,洪水発生時の浸水情報の迅速な抽出技術,地すべり災害の事前検知の可能性,道路構造物の維持管理の効率化である。

 ドローン物理探査は国交省が進めるi-Constructionの後押しもあり土木分野で特に活用が進んでいる。土木分野ではUAV測量(LiDARやLP)の事例が多いものの,物理探査学会では空中電磁探査の事例が多い。また,ドローンは海中探査でも自律型無人探査機(AUV)として活用が進んでいる。ドローン物理探査の活用事例としては,ドローンによる空中電磁探査を利用した台風による崩壊斜面の崩壊機構検討,VTOL機を利用した河川巡視実証実験を紹介する。

 今後の展望として,衛星リモートセンシングはセンサの高解像度化,衛星コンステレーションによる観測の高頻度化,データ提供のリアルタイム性の向上が予想される。ドローン物理探査は観測機器の技術開発の進行と共に,様々な物理探査手法への適用が期待される。これらは災害時の迅速な対応や平時のインフラ監視に役立つと考えられる。

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© 2024 社団法人 物理探査学会
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