物理探査
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技術報告
Hachijojima Island Dense Seismic Observation and Manual Travel Time Picking Analysis for Earthquakes Localization
Adrianto Widi Kusumo東 宏幸渡辺 俊樹小田 義也
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2025 年 78 巻 p. 1-13

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抄録

 伊豆諸島で2番目に大きな火山島である八丈島で地震観測を実施した。臨時観測は2019年と2021年の2回,それぞれ7ヶ月間行われた。9カ所の常設観測点に加え,島全体に46カ所の臨時観測点を高密度に設置し,地震データを収集した。この論文では,地震観測について説明し,地震カタログを確立し,マグマ系と地殻構造に関連した地震活動の初期評価を行うことを主な目的とした。多チャンネルの地震波形データを扱う処理システムであるWINシステムを用いて,P波とS波の到達時刻を手動で読み取った。その後,WINシステムの‘hypomh’プログラムを用いて,手動検測の結果を用いて近地地震の震源を決定した。合計179個の地震が決定され,そのうち119個は2019年に,残りの60個は2021年に発生した。ほとんどの地震の震源は,島の北西部にあるリフト縁辺の北端に位置することがわかった。これらの地震現象は,深さ10-20 kmの中下部地殻における長距離の横方向のマグマ輸送と関連し,地殻深部における地域的な地殻変動状態に駆動されていることが示唆された。この研究で得られた地震カタログは,八丈島周辺の地下構造の調査に活用できる。

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© 2025 社団法人 物理探査学会
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