抄録
本稿では、国と地方の財政において、人口移動と受益および負担に関する因果関係を分析した。
最初に、都道府県別の一人当たりにおいて、「国の直接支出」「財政移転」「地方財政の直接支出」
から受益を計測し、「国税」「地方税」から負担を計測した。次に、受益と負担に依存する実証
モデルを用いて回帰分析を行った。最後に、回帰分析で得られた結果を用いて、人口移動と受益
および負担に関する因果関係の仮説の検証を行った。
分析の結果、2009年度では、可処分所得と国の直接支出が人口の転入を増加させる要因であり、2014年度では、地方財政が人口の転入を増加させる要因であることが分かった。さらに、地方財政の直接支出が可処分所得や国の直接支出よりも人口の転入の増加に対して高い効果をもたらすことが明らかになった。したがって、地方財政の改善について見直し、地方財政の活性化に取り組むことで、地方の過疎化や東京の人口一極集中の緩和に対して、国の財政よりも高い効果をもたらすことが期待できると結論づけた。