2022 年 59 巻 1 号 p. 25-35
冬期において高齢男性の排尿回数に影響を及ぼす諸条件を検討した.インターネットで関東地方在住の65歳以上の高齢男性を研究協力者として募った.約10日間の調査期間中,排尿時間とおおよその尿量の記録,1回のアンケート調査などをお願いした.また居間と寝室の温湿度を10分毎に自動計測した.活動時の居間温が低いか国際前立腺症状スコアが高いと活動時の排尿回数が増加する傾向がみられた.就寝時の寝室温が高いかピッツバーグ睡眠質問票の得点が高いかあるいは過活動膀胱症状スコアが高いと就寝時の排尿回数が増加する傾向がみられた.就寝時の寝室温が高くなると睡眠障害が起こりやすく,睡眠が浅くなることによって過活動膀胱症状が表出し,その結果就寝時の排尿回数を増加させるという一連の反応が考えられた.また一日あたりの排尿回数は国際前立腺症状あるいは過活動膀胱症状が悪化すると増加する傾向がみられた.