日本生気象学会雑誌
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生気象学的にみたわが国のインフルエンザ流行の実態について
薩田 清明
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1988 年 25 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

インフルエンザの流行と気象との関係を解析するために, 1976~1985年までの9回の冬の流行について, 北海道, 東京, 大阪, 島根, 福岡の週別インフルエンザ患者発生数のピークと11~3月の5か月間の月別の平均気温, 平均相対湿度との関係について検討した.
1.北海道地域を除く4地域では, 流行のピーク週が1978~1979年の流行を除き1月下旬~2月下旬の間に認められ, 1月または2月の平均相対湿度がもっとも低い場合が多かった.
2.北海道でのピーク週は若干遅く2月上旬~3月上旬に認められ, 同地域の平均相対湿度は3月が11月についで2番目に低いことが多かった.
3.1978~1979年の流行ではピーク週は5地域ともに3月に入ってから認められたが, この冬には3月の平均相対湿度が4地域ではもっとも低く, 北海道では2番目に低かった.
4.以上のように, 相対湿度の低い1~2月は気温ももっとも低く, 室内環境は暖房も入り閉鎖的になり, いっそう低相対湿度環境を招き, インフルエンザの流行にもっとも都合のよい環境条件となるのがインフルエンザ流行の理由であろう.

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