日本生気象学会雑誌
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家兎の実験的凍死に関する研究
相原 弼徳相原 まり子山田 久郎
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1988 年 25 巻 1 号 p. 27-34

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抄録

家兎を腹臥位に固定して足の方から水中に浸漬し, 水温を調節して種々の寒冷刺激を加え, 体温下降の型によってつぎの4群を設定し検討を行った.
急冷死亡群は体温を速やかに下降させてできるだけ速く死に至らしめ, 緩冷死亡群は死に至るまで継続的に徐々に下降させ, 定温死亡群は比較的速やかに下降させた後, 死に至るまで18℃前後に維持させ, 長冷死亡群は, きわめて徐々に下降させた後, 20℃前後でできるだけ長く生存させた結果,
1) 家兎は直腸温13~19℃で死亡した.
2) 心拍数および呼吸数は直腸温低下に伴い減少を示すが, なかには一時的に増強を示すものも見られた.またCheyne-Stokes呼吸が始まると30分くらいで死亡する.
3) 振戦は浸漬後10~25分で直腸温33~38℃に始まり, 直腸温25~28℃にもっとも強く出現する傾向が認められた.
4) 直腸温が20℃まで下降すると, 角膜反射は減弱し15~30分後には死亡する.
5) 全身状態は直腸温20~30℃の時に増悪するが, とくに20℃以下になるといっそう著明になる.以上の成績より, 各種環境下で直腸温20~30℃を境にして著明に全身状態が悪化する.

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