日本生気象学会雑誌
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水浴における浴用剤成分による生体への作用
長井 克介渡邊 智川崎 義巳
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1992 年 29 巻 1 号 p. 25-33

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抄録

浴用剤と入浴は, 我々の日常の生活に密着した生活習慣として根ざしているものであるが, 事実, あらゆる種類の浴用剤が市場に出回っており, 消費者もこの種の商品を頻繁に購買する傾向にあると言ってよい.入浴とりわけ, 全身浴は生理学的, 血液動力学的, 心臓力学的変化をもたらすものであり, 浴湯水に溶存する化学成分の経皮吸収や水の静水圧の影響を受けて体循環, 肺循環の改善をもたらすものである.事実, 温浴療法や, 温泉治療は, 整形外科や内科領域等のリハビリの手段として広く用いられてきた.浴用剤を用いた医療面では, 浴用剤が血管拡張による強い降圧作用を有する事が知られており, これは, 静脈血の浄化と末梢血の循環の改善が血液動力学的に関連する血管拡張に支えられているという事を示すものである.さらに, 我々はアルカリ塩類, オイル, 糖類等を用いた浴後の皮膚の保湿効果, 清浄効果, 角質の柔軟性について概説する.

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