日本生気象学会雑誌
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沖縄県における気温と死亡との関係
本田 靖小野 雅司佐々木 昭彦内山 巌雄
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1997 年 34 巻 2 号 p. 81-87

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抄録

われわれは, 沖縄県における気温と死亡との関連を解析した.65歳以上人口は過去20年間に老齢化しているにもかかわらず, すべての日最高気温区分における死亡率が低下し, 気温による死亡率の差も小さくなってきている.また, 日最高気温区分ごとの死亡率は, すべて, 他都道府県のデータから直線回帰で求めた期待死亡率よりも低かった.われわれはこの特徴が非生理学的適応 (たとえばより機密性の高い住宅, 社会経済的状態の改善, エアコンの普及など) , あるいは沖縄の気候が温暖なことによるものと考えた.沖縄県の年齢階級別死亡率のパタンは, 九州ではV字型 (ある気温で死亡率が最低となり, それより高温でも低温でも死亡率が高い) を示すいくつかの高齢群でもV字型が乱れている.この理由は不明であるけれども, われわれはインフルエンザ流行の様式の相違 (暖かい地方では流行が不明確になる) によるのではないかと推測している.

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