日本生気象学会雑誌
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34 巻, 2 号
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  • 緑川 知子, 坂本 千鶴, 周防 五月, 登倉 尋実
    1997 年 34 巻 2 号 p. 65-72
    発行日: 1997/08/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    暑熱環境下において寒冷壁面からの放射冷却を人体腹側面あるいは背側面に受けることが, 体温調節反応に与える影響を明らかにする目的で, 環境温と6面の壁温が33℃の人工気候室で, 壁面から50cm離れて立ったセミ・ヌードの被験者6人について被験者が熱平衡に達した後, 被験者の近傍50cmの壁の温度を10℃に下降させ, 寒冷壁面に人体の腹側面を向ける場合 (V) と背側面を向ける場合 (D) で, 鼓膜温, 直腸温, 腹側面と背側面の各部皮膚温, 下腿側面の発汗速度, 温冷感, 温熱快適感を測定した. (V) の方が (D) よりも, 鼓膜温下降 (V: 36.97℃から36.77℃, D: 36.99℃から36.91℃) , 発汗量の減少が大きく, 温冷感もより涼しく, 温熱快適感もより快適であるとの申告を得た.皮膚温は下降壁面に向いていた部位でのみ低下を示した.これらの知見は (V) の顔面皮膚温低下が鼓膜温, 発汗減少に影響を与えたことを示唆している.
  • 横山 真太郎, 角田 直人, 落藤 澄
    1997 年 34 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 1997/08/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    円筒層近似可能な人体の部位において, 各層の産熱量と温熱環境条件が均質と扱える場合, 定常状態の生体内熱移動方程式の一般解を, 変形Bessel関数を用いて表現するアルゴリズムを考案した.この解法を各部位に適用し, その内部温度, 内部熱流束を求めるプログラムを開発した.このプログラムによれば, 温熱環境因子のみの入力変更で, 多様な温熱環境条件下の生体内温度分布, 熱流束分布の算定が可能となる.さらに, 従来の算定法と比較すると計算ステップが大幅に低減化されているため, 計算時間が非常に短いという利点を持っている.また, これらの応用として, 大腿部と前腕部を対象にシミュレーションを行ったが, その計算結果はモデルの特性を反映し, 活用に値するものと考えられた.
  • 本田 靖, 小野 雅司, 佐々木 昭彦, 内山 巌雄
    1997 年 34 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 1997/08/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    われわれは, 沖縄県における気温と死亡との関連を解析した.65歳以上人口は過去20年間に老齢化しているにもかかわらず, すべての日最高気温区分における死亡率が低下し, 気温による死亡率の差も小さくなってきている.また, 日最高気温区分ごとの死亡率は, すべて, 他都道府県のデータから直線回帰で求めた期待死亡率よりも低かった.われわれはこの特徴が非生理学的適応 (たとえばより機密性の高い住宅, 社会経済的状態の改善, エアコンの普及など) , あるいは沖縄の気候が温暖なことによるものと考えた.沖縄県の年齢階級別死亡率のパタンは, 九州ではV字型 (ある気温で死亡率が最低となり, それより高温でも低温でも死亡率が高い) を示すいくつかの高齢群でもV字型が乱れている.この理由は不明であるけれども, われわれはインフルエンザ流行の様式の相違 (暖かい地方では流行が不明確になる) によるのではないかと推測している.
  • 岡村 圭子, 中村 泰人
    1997 年 34 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 1997/08/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    季節変化に伴う人体の温熱生理学特性を考慮することによって室内熱環境の設計方法を提示することは, 生気象学に関連した工学の主要課題であるとの観点から, 本論文は, 温熱生理学特性の年内変動と気温の年内変動との関係を明らかにすることを目的とした実験的研究である.実験では, 1年を通じて同一の熱環境に対する温熱生理学的特性を調べた.皮膚温は, 夏高冬低の季節変動を示し, 外気温15℃以上では外気温に追随して変化するが, 外気温15℃未満では外気温に無関係にほぼ一定値をとった.鼓膜温は, 夏低冬高の季節変動を示し, 向寒期は向暑期より約0.1K低かった.外殻率α=0.1として求めた平均体温は, 年間でほぼ平坦になったが, 向寒期は向暑期より約0.1K低かった.8月の平均体温, 2月の平均体温は, その後も値が持続する傾向があった.
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