日本生気象学会雑誌
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最近3年間における学校での運動時死亡事故の生気象学的検討
星 秋夫中井 誠一稲葉 裕
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1999 年 36 巻 2 号 p. 113-118

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抄録

近年3年間 (1994~1996) における, 小学生から高校生を対象とした学校での運動時における死亡事故の実態と発生要因について検討した.心疾患による死亡が最も多く, すべての死因において女子よりも男子で発生件数は多かった.熱中症, 溺水による死亡事故は7, 8月に発生が集中する季節変動が認められた.多重ロジスティックモデルの結果, 心疾患において, WBGT (Wet Bulb Glob Temperature) が21.0℃以上では, 21.0℃未満よりも死亡の危険が有意に低いことが認められた.これに対して, 熱中症, 外傷・打撲等および溺水はWBGTが21.0℃未満よりも21.0℃以上では死亡の危険が高いことが認められた.心疾患において, 運動部在籍者は非在籍者よりも有意に死亡の危険が低いことが認められた.熱中症および外傷・打撲等においては運動部在籍者で死亡の危険が高い傾向にあった.以上のことから, 心疾患による死亡事故の暑熱環境による影響は小さいと推察された.熱中症と外傷・打撲等による死亡事故の発生は夏季の暑熱環境下で激しい身体トレーニングを実施したためであると推察された.

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