透湿性防水素材は野外活動用の外衣として多く使用されている.本研究の目的は, 雨天想定下での作業時における温熱影響について観察することであった.外衣条件は3種であり, ミクロテックス (MT: 透湿性) , ゴアテックス (GT: 透湿性) , 及びハイパロン (HP: 非透湿性) を用いた.環境条件は気温20℃, 相対湿度80%に制御され, 環境条件2種 (条件D: 散水なし, 条件R: 散水あり) を設定した.被験者は健康な成人女子6名 (平均: 22.7歳, 58.1kg, 164.2cm) を用い, 最終段階の作業強度がRMR6.1に相当する漸増負荷作業を行わせた.条件Rでの散水量は80ml/分であった.測定項目は衣服内温湿度, 直腸温, 皮膚温, 心拍数, 酸素摂取量及び主観申告とした.条件Dでは素材間の温熱的効果について有意差が認められたが, 条件Rでは観察されなかった.また、温熱負荷は条件Dより条件Rにおいて軽減された。