2010 年 17 巻 3 号 p. 85-91
急冷処理(CST)時間が緑熟トマトの果皮色変化と抗酸化システムに及ぼす影響を調べるため,緑熟トマトを氷水中で1〜3時間急冷処理した後,20℃に1週間貯蔵した。3時間急冷処理した緑熟トマトは,未処理果に較べて1.6日早く(9.9日→7.7日)赤色に到達し,低温障害の発生はなかった。この結果は,既報の研究成果にはない新しい現象であり,果皮色変化の加速には,スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とパーオキシダーゼ(POD)の活性低下が関与している可能性が示された。一方,1時間急冷処理した緑熟トマトは,未処理果に較べて3日遅れて(9.3日→12.3日)赤色に到達し,マロンジアルデヒド(MDA)含量は減少,アスコルビン酸濃度は増加,SODおよびPOD活性は増大した。以上の結果より,急速処理時間に依存する緑熟トマトの果皮色変化は,抗酸化システム変化と関連していることを示唆している。