企業の健康経営において,従業員の肥満解消は重要な要素の一つである.しかしながら,成人肥満を解消させるためには,子どもの頃からの対策が必要であるとされている.本研究では,企業従事前における学齢期男子の体脂肪率横断的データから,その加齢変化傾向を解析し,肥痩度を判定するための評価チャートを構築することにより,企業従業員の肥満のリスク分析を可能にすることを目的とした.対象は,小学1年生から中学3年生までの男子生徒634名であった.体脂肪率は,インピーダンス法によって計測した.各学年の体脂肪率の統計値に一要因分散分析を行った.あわせて最小二乗近似多項式を適用し,5段階の肥痩度評価チャートを構築した.学齢期男子の体脂肪率の加齢変化は,小学校高学年に向けて増加し,中学3年生に向けて減少する負の2次回帰傾向を示した.また,5段階評価チャートから得られた肥痩度の判定に妥当性が認められた.これにより肥痩度評価チャートに基づく肥満リスク分析への道筋が確立された.