抄録
近年, 多くの企業が製品設計や生産システムのモジュール (モジュラー) 化を進めている。また, サプライチェーンにおけるトレーサビリティシステムの構築に取り組む企業も多く見られる。このような企業間の連係と情報共有の基盤となるのが, EDIをベースとする情報ネットワークである。現在, 企業間情報ネットワークはインターネットを中心とするオープン化 (標準化) が趨勢となりつつあるが, その適合性は企業間で取引される商材の特性や取引形態の相違によって, あるいはレガシーシステムの制約によって影響を受けると考えられる。本稿では, まず, 企業間関係とEDIに関する先行研究をレビューし, つぎに質問表調査データを手がかりとして, 企業におけるモジュール化の進行やトレーサビリティへの取り組みが企業間取引と情報ネットワークのオープン化を促進する契機となり得る可能性について検討し, それが企業間でのコラボレーションにあたえる影響について考察する。