生産管理
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品質マネジメントシステムと内部統制ケイパビリティ
財務報告に係る内部統制の観点から
石島 隆
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2007 年 14 巻 1 号 p. 37-48

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抄録

米国に倣ってわが国においても財務報告に係る内部統制の評緬及び監査の制度が2008年4月以降開始する事業年度から導入される予定である。この制度に基づく内部統制の有効性の評価は、リスク分析とリスクに対応したコントロールの検討という内部統制の外形に着目した手法によっているが、内部統制を有効に機能させるためには、その前提となる組織のケイパビリティを考慮する必要がある。ここで、財務報告に係る内部統制の有効性に関わる組織のケイパビリティを「内部統制ケイパビリティ」と定義する。
ところで、財務報告プロセスのアウトプットである財務報告書類は投資家に対して情報を提供するサービスであり、品質マネジメントシステムの適用対象とすることが可能である。また、組織のケイパビリティは、品質マネジメントシステムにおける要求事項を実現するための実行能力と捉えることができる。さらに、これらの要求事項と内部統制のフレームワークとを比較した結果、項目間の関連性が深く、内部統制のフレームワークを補完する観点も含んでおり、内部統制ケイパビリティの分析用のフレームワークとしての妥当性が確認された。
そこで、内部統制の欠陥事例、先進事例をこの分析用のフレームワークに当てはめ、組織のケイパビリティの観点から共通の要素を抽出し、内部統制ケイパビリティの要素の体系を提示し、さらに、内部統制ケイパビリティの評価と改善の指標となる成熟度モデルの考え方を提示した。

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