抄録
筆者は過去50年以上にわたり多くの企業を経営してきた。幼少期の極貧経験, 青年期の経営者経験, バブル期の経験, バブル崩壊とそこからの再生といった人生経験そのものが「経営とはなにか」という問いを常に筆者に投げかけた。
その中で, 強くてよい中小企業を作るためには, 決算書を武器とした「BS経営」が最も有効であると考えるにいたった。
「BS経営」は, 長期的な安定性と変化対応力の源泉としての純資産を, 短期的な対応力の源泉としてフリーキャッシュフローを重視した経営手法である。同時に, ROAやROEといったB/S関連指標を重視する中で, 資産の効果的な活用を促す仕組みになっている。「BS経営」を進める過程では, 社員が経営者的視点やスキルを持つようになり, より一層企業としての変化対応力が強化される。