2010 年 62 巻 4 号 p. 367-370
近年,大きな地震により列車の脱線,高架橋の損壊,軌道変状,盛土の崩壊などの被害が報告されている.幸い鉄道利用者に被害は出ていないが,ダイヤが混み合う時間帯に大地震が発生した場合,鉄道利用者に甚大な被害が出る可能性がある.本研究では,通勤ラッシュ時に走行する列車に衝撃が加わった状況を想定し,楕円形個別要素法による群衆行動解析モデルを用いて満員電車内の乗客の挙動を追跡し,人体に作用する力を考察した.解析の結果,車両が傾くことで乗客に大きな被害が出る可能性があることが示された.また,つり革を増設することで車両の傾きが20度の場合には乗客に作用する力を軽減できることがわかった.[本要旨はPDFには含まれない]