2013 年 65 巻 3 号 p. 263-265
本研究では,血行性のがん転移に深く関与しているとされる血中を循環する腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)を単一細胞レベルで仔細に解析するためのマイクロ流体デバイスを開発している.デバイスは,マイクロ流路構造を持つシリコーンゴム製チップとinterdigitate型のITO(Indium Tin Oxide)製電極構造およびエポキシ樹脂製マイクロチャンバアレイを有するガラス基板からなり,電極に交流電圧を印加することで,流路内の細胞をマイクロチャンバに捕捉できる.本稿では,単一CTCを解析するための基礎的検討として,マイクロチャンバに捕捉した前立腺がん細胞(DU145細胞)に免疫・核酸染色と生死・アポトーシス判定の操作を行った結果について報告する.