生産研究
Online ISSN : 1881-2058
Print ISSN : 0037-105X
ISSN-L : 0037-105X
65 巻, 3 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
特集1 工学とバイオ
特集に際して
研究解説
  • 金田 祥平, 荒木 文子, 中村 寛子, 藤井 輝夫
    2013 年 65 巻 3 号 p. 257-261
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    血中を循環する腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)は血行性のがん転移の主因であると考えられている.血中のCTCを分離し計数した後に仔細な解析をおこなうことで,がん診断や治療に有用な情報を得ようとする臨床応用が期待されており,高感度にCTCを血中から分離検出する技術が近年大きな注目を集めている.本解説では,既存のCTC分離検出技術および最近のCTC検出マイクロ流体デバイスの開発動向について概観した後,筆者らのグループが開発するウェル型のCTC検出マイクロ流体デバイスについて紹介する.
研究速報
  • 小林 麻里奈, Kim Soo Hyeon, 金田 祥平, 藤井 輝夫
    2013 年 65 巻 3 号 p. 263-265
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,血行性のがん転移に深く関与しているとされる血中を循環する腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)を単一細胞レベルで仔細に解析するためのマイクロ流体デバイスを開発している.デバイスは,マイクロ流路構造を持つシリコーンゴム製チップとinterdigitate型のITO(Indium Tin Oxide)製電極構造およびエポキシ樹脂製マイクロチャンバアレイを有するガラス基板からなり,電極に交流電圧を印加することで,流路内の細胞をマイクロチャンバに捕捉できる.本稿では,単一CTCを解析するための基礎的検討として,マイクロチャンバに捕捉した前立腺がん細胞(DU145細胞)に免疫・核酸染色と生死・アポトーシス判定の操作を行った結果について報告する.
研究解説
研究速報
  • 中岡 慎治, 合原 一幸
    2013 年 65 巻 3 号 p. 273-280
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    ヘルパーT 細胞は免疫系の司令塔とも呼ばれ, 免疫応答において重要な役割を担う細胞である. 数理モデルを用いたヘルパーT 細胞の増殖・分化に関する先行研究は, T 細胞集団の個体群ダイナミクス, もしくはサブセット分化に関わる遺伝子制御ネットワークのダイナミクスにのみ焦点を当てているものがほとんどである. これに対して本稿では, ヘルパーT 細胞集団のクローン増殖と細胞内遺伝子発現ダイナミクスを同時に取り扱う個体ベースモデルを構築し, 2つのサブセット間でバランスがどのように維持されているかを調べるため確率シミュレーションを実行した. 本稿で紹介した手法は, 免疫細胞のような自身の機能的な変化も伴う細胞集団のダイナミクスを追跡する上での活用が期待できる.
  • 藤澤 慶, Liang Fuyou, 小林 匡治, 山田 茂樹, 高木 周, 大島 まり
    2013 年 65 巻 3 号 p. 281-284
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    近年,循環器系疾患の発生メカニズムの解明や診断・予測を目的として,血流シミュレーションが有用なツールとして注目されつつある.動脈硬化症の治療として行われるステント留置術は,術後に過灌流症候群によって脳出血を引き起こすことがあることが知られていることから必要な情報を術前に提供することは有用と考えられる.そこで,可視化を含めた1次元-0次元によるマルチスケール全身循環シミュレーションシステムの開発を行った.患者個別の解析のため,医用画像による血管形状の抽出とPC-MRIの計測値に基づく末梢抵抗値を用いた.本解析手法を用いてステント留置術を行った患者に対して行った結果,留置側の脳血管において流量の増加が確認された.
特集2 生産数理グループ
特集に際して
研究解説
  • 坂本 慎一, 髙橋 莉紗
    2013 年 65 巻 3 号 p. 287-294
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    一般環境を対象とした音場再現および音場評価において,音源の指向性は重要なファクターである.音源の指向性は本来,音源自身が有限の大きさをもち,かつ特有の形状を有することに由来する.したがって,音場の数値シミュレーションにおいて,指向性を模擬するためには,音源形状の詳細なモデル化が物理的に最も正しい方法である.しかし,音源形状を詳細にモデル化するためには音場の離散化数が膨大となり,実用的な計算が困難となる.そこで本研究では,任意の指向性が数学的に球面調和関数の線型和で近似できることを利用し,時間領域有限差分(Finite-difference time-domain : FDTD)解析において球面調和関数の特性を実現するための音源の与え方について検討した.初期分布の与え方,時間特性の補正方法について詳述し,ダミーヘッド・マウスシミュレータの指向性に対する適用を通して本手法の妥当性を検証した.
研究速報
  • 永田 基樹, 藤原 直哉, 西川 功, 田中 剛平, 鈴木 秀幸, 合原 一幸
    2013 年 65 巻 3 号 p. 295-299
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    東日本大震災以降,電力の安定供給は重要な課題として注目を集めている.
    安定性の理解のためには数理モデルの解析が必要であるが,詳細なモデルは数理的な解析が容易ではないため,現象の本質を抽出した簡潔なモデルが必要である.本研究では,東日本の送電網の接続関係を用いて,周波数同期のダイナミクスを位相モデルによって記述した.本モデルにおいて,安定供給のためには同期した定常状態の実現が必要であるが,そのための結合強度の閾値を求めた.また,周波数同期に寄与している送電線を特定し,同期への寄与の大きさについて考察した.
  • Bueno Ruben, 羽田野 直道
    2013 年 65 巻 3 号 p. 301-305
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    複雑ネットワークの大きな特徴の一つとして,隣接行列が大量のゼロ固有値を持つことを示します.これらゼロ固有値は,局所的に対称性を持つ構造から生まれます.また,それに対する固有状態が,対応する局所構造に強く局在することを示します.これは,従来よく知られているアンダーソン局在とは全く異なる種類の局在です.
  • 城 真範, 赤穂 昭太郎, 合原 一幸
    2013 年 65 巻 3 号 p. 307-308
    発行日: 2013/05/01
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    様々な観測時系列を詳細に検討するためには,過去の有限個の点列が与えられたとき,そのアトラクタ形状を再現するモデル(フリーランモデル)を作ることが望まれている.今回提案する方法は,1ステップ先の予測誤差を最小にする方法に規準してフリーランモデルを作る方法であるが,LASSO(least absolute shrinkage and selection operator)という方法で凸最適化による高速化をする点に特徴がある.LASSOを使って得られるモデルパラメータはスパースため,高次元のモデルをあてはめたとしても比較的容易に項数を減らせ,単純で解析しやすい有用な数理モデルを得られる可能性が高い.のみならず,係数が0となる項を効率的に削除することで計算を高速化できる可能性も持つ.今回は簡単なカオス時系列であるLogistic写像を用い,高速にモデルが作れることを示した.
研究解説
研究速報
研究解説
研究速報
一般
研究速報
feedback
Top