2015 年 67 巻 6 号 p. 647-650
本研究では,金属・樹脂直接接合において,加工条件が接合強度にどのような影響を与えるかを調査した.薬品処理によって20 nm 程度の微細孔からなる多孔質構造を金属部材表面に形成し,その金属部材をインサート成形することで,樹脂部の成形と同時に金属・樹脂の直接接合を行った.調査する加工条件としては,成形する際の金型のキャビティ内圧力の大きさと,後処理として行うアニーリングの時間に着目した.接合強度の評価としては,重ね継手構造の接合サンプルの引張試験を行い,引張せん断強度を測定した.試験の結果から,キャビティ内圧力が大きくなるほど,アニーリング時間が長くなるほど接合強度が大きくなることが確認できた.また,接合強度が大きいものでは,試験によって母材破壊が生じており,非常に強い接合が実現できることを示した.