抄録
本研究では,小型生産機械群を用いた高品質・低コストの革新的生産システムを開発する.個々の部品を全数検査するのではなく,生産工程をモニタリングすることで,製品の機能を保証する.この生産システム実現のために,まず,機械自身の動作を計測するための精密センサを内蔵した,小型射出成形機と小型プレス機を開発した.小型生産機械は80mm x 130mm x 80mm のサイズで,製品と計測データの1 対1 対応が実現できる.また,加工機を小型化したことによって,成形については1 個取りが可能になり,プレスについては加工力と作動力のS/N 比が向上した.次に,プロセスおよび製品の評価のためにMT 法(Mahalanobis-Taguchi Method)を導入した.その結果,従来のスペック評価では検出されなかった「良品でないもの」を検出することができた.これらの小型生産機械を用いて,微小部品を加工する実験によって,生産機械の動作計測データから製品の品質を判定できることがわかった.このことから,製品の品質向上と管理コストの低減を同時に実現できる可能性があることを示した.