2015 年 67 巻 6 号 p. 695-700
2015 年4 月25 日に発生したカトマンズ北西部を震源としたネパール地震(Mw7.8)は,ネパール中部地域に大きな被害を与えた.地震動の大きかった地域では,適切な補強がなされていなかった組積造の建物が多く倒壊し,多くの犠牲者が生じた.また,地盤に関しても多くの被害が生じ,道路の被害や寸断などが生じた.本報告では,地震発生から約1 週間後に実施された現場被害調査を基に,同地震における構造物被害と地盤災害の様子をまとめた.カトマンズでは歴史的構造物の被害や幹線道路の盛土の沈下,カトマンズ北部の山地や震源地周辺では,道路沿いに落石・斜面崩壊が多く発生した.震源に近づくほど家屋の倒壊や斜面崩壊の数と規模が大きくなる傾向が確認された.