2020 年 72 巻 2 号 p. 117-121
与えられた論理式を満たす論理変数の割当の有無を求める充足可能性問題(SAT)は,計算機科学の理論と実応用の両面において重要な問題である.本稿では,Ercsey-Ravasz と Toroczkai によって提案されたSAT を解く力学系についての解説を行う.SAT を時間変化する最適化問題として定式化し,連続時間・連続状態空間上での最急降下法を用いて解くこの系は,過渡カオスなどの興味深い力学系的性質が知られており,電子回路としての応用も期待されるものである.