日本生態学会誌
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特集 生物のクローン性:クローン増殖による分散と局所環境変化への応答からその有効性を考える
肉眼で見ることの出来ない菌類のクローンで増える生き方
広瀬 大
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2017 年 67 巻 2 号 p. 161-168

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抄録
菌類は菌糸体もしくは酵母として生活する微生物である。いずれの生活型においても、菌類の殆どの種はクローン増殖する能力を有する。微小であり観察できる表現型が少ないことに加え、単相と重相の世代を持つ種が存在することなどから、菌類は個体の判断やその連続性の把握が難しい生物である。その様な菌類におけるクローン増殖の生態的意義を明らかにするためには、核酸をターゲットにした分子マーカーは強力なツールとなる。分子マーカーにより決定される遺伝子型を基にした遺伝的変異の空間分布に関する研究は、個々の菌種の生活史や繁殖戦略の解明に繋がると期待される。本稿では、まず菌類のクローン増殖の生態的意義を考える上で前提となる基本的な生活様式について概説する。次に、外生菌根菌における遺伝的変異の空間分布研究を例に、菌類のクローン増殖にみられるパターンについて紹介する。
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© 2017 一般社団法人 日本生態学会
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