市民参加型調査のタイプは様々あり、その市民参加型調査の特徴によって、研究者(市民参加型調査の立案者)にとっての利点と欠点が存在する。市民参加型調査の特徴として、参加者と調査方法の負担と調査対象に注目しながら、著者が行っている市民参加型調査「花まるマルハナバチ国勢調査」の研究上の成功と著者の挫折、利点と欠点について、説明していきたい。花まるマルハナバチ国勢調査は、東北大学と山形大学の研究者が中心となって立ち上げた、市民参加型調査である。ウェブページやSNS、チラシなどで、マルハナバチの写真を撮影し、撮影日時や撮影場所の住所とともに写真をメールで送ってもらえるよう、市民に呼びかけている。そのため、この市民参加型調査は、参加者が不特定多数の市民で、調査方法の負担は比較的小?中程度と考えられる。また、調査対象はマルハナバチ類で、日本で生息している種は、外来種も含めて16種である。ただ、送られてくる写真は、ミツバチ類やクマバチ類、ハキリバチ類など、多くの一般的なハナバチ類が含まれている。本稿では、花まるマルハナバチ国勢調査を行ったことで気づいた、参加者が不特定多数であること、市民の調査方法の負担が比較的小さいことでの利点・欠点について、説明する。また、調査対象が特定の生物群(ハナバチ類)であることでの利点・欠点についても、説明する。著者は、この市民参加型調査が研究面で成功したのは、調査対象がハナバチ類であったのが大きいと考えている。また、花まるマルハナバチ国勢調査を続けていくうちに、欠点の克服方法がいくつか見つかったため、それら克服方法についても説明する。最後に、継続しやすい市民参加型調査の1つの形について、著者の意見を述べたい。