抄録
近年、日本生態学会の女性会員の割合は2019年に24%まで上昇した。生態学会の会員構成におけるジェンダーバランスはどのように改善されてきたのだろうか。また、どのようなジェンダー不均衡が存在するのだろうか。本報告では、これらの詳細を明らかにするために生態学会事務局で管理されている個人会員名簿を用いたデータ解析を行い、(1)2009年度と2019年度の2時点における会員の性別ごとの齢構成の把握、(2)近年の入退会傾向の評価と退会理由の把握、(3)性別・年齢別の入会者数と退会率の推定を行った。その結果、2009年度から2019年度までの10年間にほとんど全ての年齢層で女性割合が向上しており、特に30代後半から50代前半にかけて比較的大きく改善していることが明らかとなった。一方、入退会の傾向には性別による違いがあり、同じ年齢の男性に比べて女性は一貫して入会者数が少なく、退会率が高かった。会員の女性割合は年齢とともに低下し、同一年代生まれのコホート内でも10年間に減少する傾向が見出されたが、これはあらゆる年齢において不釣り合いに多くの女性会員が学会を退会していることが一因だと考えられる。これらの結果は、近年のジェンダーバランスの改善傾向の背景に依然としてジェンダー不均衡が存在していたことを示している。ジェンダー不均衡の解消に向けて学会で実行し得る取り組みについて考察した。