記号学研究
Online ISSN : 2758-8580
研究論文
サステイナビリティ(持続可能性)と日本のコード
未完の持続性と文化の基層構造に関する研究
山下 晃平
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2025 年 3 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
21世紀に入り地域の制度設計や共同体の理念が再考を迫られている。そこで本稿が注目するのは、「サステイナビリティ(持続可能性)」という用語である。2015年に国連が提示した「SDGs:Sustainable Development Goals」という国際目標によって、サステイナビリティは人類にとって喫緊の課題とされている。本稿では、文化的なコードという視点から、サステイナビリティの地域的性質を明らかにする。 まずはサステイナビリティに関する国内の取り組みを分析する。日本では企業活動における資源の再利用やエコシステムの構築という動きがある一方で、伝統文化や風土、あるいは祭礼への関心も見られる点が特徴的である。このことは、地球環境への視点だけではなく、「共生と持続」への志向があることを示唆する。 そこで日本文化の基層構造から、サステイナビリティ概念に潜在する地域的特性を分析する。文化論における外来文化に対する「ウチ/ソト」の概念や、繰り返される現在性の重視、あるいは「不完全性」の受容という理論が参照される。結果として、国際的な共通項とされるサステイナビリティは、文化的性質としての古層が隆起することで「記号的に」受容され、「未完の持続性」という日本的性質へと変質していることが明らかとなる。
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© 2025 本論文著者
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