抄録
高齢社会を迎えて幅広い年齢の成人女子に適したITを利用した衣服購入用の情報を抽出したい.そのため,これまでに成人女子の3次元体形のイメージを分類し,衣服選択時の3次元モデルの体形イメージをサイズを用いて予測できるようにした.本報では,この3次元体形のイメージ別でサイズの異なる,20代,40代,70代の日本人成人女子の平均的3次元人体モデルを着衣基体として,仮想的に試着した3次元着装シミュレーションを構築した.今後のネット社会で,3次元着装シミュレーションによる消費者の婦人服購入選択支援情報を抽出するため,デザイン選択用のイメージ用語を分類し,そのデザインイメージ用語に対応した服のデザイン要素の特徴と体形も含む着装などの情報を抽出した.
1. 136の婦人ファッション雑誌(2000~2004年)から1075を収集して136用語にまとめ,20代後半から70代の成人女子の評価者457名(平均年齢=45.77歳)にイメージ分類を依頼した.クラスタ分析により,A1. レディ・フェミニン,A2. シャープ・モダン,A3. カジュアル,A4. ベイシック・レトロ,A5. エレガント・シックの5つの基本デザインイメージ評価用語を設定した.
2. 5つの基本イメージ評価用語に対応したデザイン服20種類(20代後半から60代の成人女子10名により選定)について,3体の3次元モデルに同じデザインでサイズ別のパターンを作成し,合計60着の3次元着装シミュレーションを回転表示して,イメージ用語によるデザイン評価とその評価要素および衣服観等について主に5段階評価による調査を行った.
評価者は学生以外の20代~70代の成人女子127名(平均年齢=45.88歳)で,年代に関係なく衣服選択時に最重要視するのは,適合性と体形であった.60代と70代の評価者は,ライフスタイル,素材,年齢,快適性について,他の年代よりやや重視する傾向を示した.
60着について5つの基本イメージ評価を行った結果,体形別による有意な差はなかった.主成分分析により,第1主成分PC1 : レディ・フェミニン系&エレガント系-カジュアル系,第2主成分PC2 : スタンダード&レトロ系-シャープ&モダン系が抽出された.