繊維製品消費科学
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死後の装い
―施術者であるエンバーマーの心的過程に焦点をあてて―
佐藤 貴之髙木 修
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2010 年 51 巻 2 号 p. 135-138

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抄録

エンバーミングとは,遺体を消毒,保存処理を施し,必要に応じて修復し,長期保存を可能にしようとする技法であり,我が国では年間10000件以上の施術が行われている.本研究は,このエンバーミングに焦点をあて,遺族の依頼を受け施術するエンバーマーが死後の装いに臨む際の心的過程を明らかにするとともに,施術機会がエンバーマー自身の働きがいに与える影響について検討した.5名のエンバーマーに面接調査を実施した結果,現職選択のきっかけが源泉となり,エンバーミング施術にあたるエンバーマーの心的過程には,施術の目標が“故人の希望の充足,満足”である「故人焦点」の意識と,施術の目的が“遺族の希望の充足,満足”である「遺族焦点」の意識とが存在し,その意識の在り様が顧客オーダーの解釈に最も強く影響を及ぼすことが示唆された.遺体の損傷修復および仕上げの化粧にあたっては,遺体に語りかけ,施術に関する故人の意思確認を行っていた.また,施術結果に対する適切なフィードバックが得られないことが多く,業務の満足感および達成感の阻害因となっていた.

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© 2010 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
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