2011 年 52 巻 2 号 p. 107-112
本論の目的は,接触するファッション雑誌のタイプによって痩身志向に差異があるかどうかを明らかにすることである.これまでの研究においても若い女性の痩身志向に関しては,とりわけファッション雑誌の影響が大きいことがたびたび指摘されてきた.しかし,わが国の文脈でファッション雑誌と痩身志向の関係を論じる際には,雑誌のタイプを無視するべきではないと考える.なぜなら,わが国のファッション雑誌は高度にセグメント化されており,雑誌が提案するスタイルは実に多様で,若い女性の装いは一様ではないからである.本研究においては,ファッション雑誌からの影響と痩身願望が相関関係にあることを確かめたうえで,さらに,接触するファッション雑誌に基づいて調査対象者をクラスタ分類し,読書傾向と痩身志向の関係を明らかにすることを目的とした.分析の結果,調査対象者が接触する雑誌のタイプが異なると,雑誌被影響性と痩身願望の相関に差異があることが明らかとなった.