繊維製品消費科学
Online ISSN : 1884-6599
Print ISSN : 0037-2072
ISSN-L : 0037-2072
報文
温熱的観点からみた乳がん術後女性のための補整具素材の水分特性
諸岡 晴美佐野 加永子谷田貝 麻美子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 56 巻 1 号 p. 54-60

詳細
抄録

乳がん手術によって片方の乳房を喪失(全摘)した女性のために,温熱的に快適な補整用パッドの水分特性を明らかにした.乳がん術後女性6人を被験者として用いた.実験用のパッド素材として,シリコンゲル,ウレタンフォーム,綿わたおよびポリエステルわたを使用した.着用実験の結果,吸湿性および透湿性がほぼゼロであるシリコンパッド装着時において,パッド内湿度が最も高く,パッド内温度が最も低かった.また,その生理応答として,口腔温および平均皮膚温が歩行後に急激に上昇することがわかった.吸湿性および透湿性が高かった綿パッド装着時には,実験中最も湿度が低かった.パッド素材の水分特性として,透湿性が高いことを前提に,高い水分率をもつ素材からなるパッドおよびパッドカバーが適切であることがわかった

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top