中国における代表的な文献サイトであるCNKIで情報を収集し,洗剤に関連するリスク情報の流れを分析した.経皮毒,蛍光増白剤の有害性,環境ホルモン,哺乳類に対する毒性試験と関連付けた人体危険説,哺乳類以外の生物に対する毒性試験に関連付けた人体危険説の5 つの論点別に文献を整理した.
調査の結果,経皮毒関連の情報は日本から発信され,その有害説をもとに中国国内で独自の企業活動に利用されていた.蛍光増白剤の発ガン性については,中国国内の法律文書の矛盾点が指摘されることに始まった.洗剤に関する環境ホルモンの情報は香港や台湾から中国に影響が及んだ.動植物に対する毒性試験に結びつけた人体への危険説は,過去の慢性毒性データや界面活性剤の動植物への特殊な毒性発現メカニズムが認知されていないことが原因になっていることが明らかになった.