糸密度の異なる布を自作し,JISウォータ法を準用して,布に平行な外気流による布の透湿性の変化を観測した.布の水蒸気移動係数は,気流流速が大きくなると増大し,糸密度が大きくなると減少した.
布のある場合とない場合の水蒸気移動抵抗の差から求めた布自体の透湿係数と,気流流速の2乗との間に直線関係が認められた.この直線の勾配は,布の透湿係数の気流流速依存度を表しており,布の顕微鏡写真より求めた空隙率が19%以上では空隙率の増加とともに増大すること,19%未満の布においてはゼロとなり,布の透湿性に外気流の影響が及ばないことがわかった.気流流速と空隙率より,2種の試験布を通じてその透湿係数の予測式を得た.