1974 年 15 巻 7 号 p. 311-317
直接染料, 酸性染料で染色した布上にかびを繁殖させ, その汚染状態, 変退色状況を観察し, さらにそれらの試料からジメチルホルムアミドにより色素を抽出してかびの分泌物による染料への影響を検討した.その結果, 白布同様生活代謝の同化物質, 産生色素の影響でほとんどの染料染色布に著しい汚染が認められた.それらの試料の中にはかびの代謝物による退色, 菌体の有色物質による着色と思われる試料もみられ, 色素を抽出して測定した結果, ほとんど無色に近い状態にまで染料色素が変化している場合もあることが判明した.