繊維製品消費科学
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接触冷温感の評価のための官能試験
今井 順子米田 守宏丹羽 雅子
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1987 年 28 巻 10 号 p. 414-422

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抄録

接触冷温感の客観評価値として, 一定熱量をもつ熱板からその接触物体への熱移動における初期熱流束最大値qmaxの妥当性を官能試験により明らかにするため, まず, 皮膚が接触する物体として熱良導体の銅熱板を用いて冷温感官能試験を行い, 接触冷温感における刺激閾, および弁別能力を求めた.次いで接触物体として布を対象としてqmaxと冷温感との相関, 環境温度の影響, 布表面形状の影響について検討した.
その結果, (1) 銅熱板を用いた官能試験: より, 手の皮膚の温, 冷を感じない温度は皮膚温によって決まり, 皮膚温より3~4℃低い.また, 温度差の弁別能力は, 被接触物体の温度20~35℃で1~2℃で, 環境温度が高くなると温度差の弁別が悪くなり, 個人差が大きくなる傾向が認められた. (2) 測定物理量qmax値が布の接触冷温感と高い相関をもつこと, 環境気温が高い場合, 冷温感の判断があいまいになること, 布の厚みが1mm以下になると接触冷温感の官能判断が不安定になることなどが認められた.
以上より, 接触冷温感の客観的測度としてのqmaxの妥当性が官能試験から裏付けられた.

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