繊維製品消費科学
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洗浄における機械作用
(第2報) 熱量法により測定された機械エネルギーと汚れの除去および布のほつれとの関係: 渦巻式電気洗濯機の場合
白岩 治己山田 寿子
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1987 年 28 巻 2 号 p. 85-90

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抄録

家庭用渦巻式電気洗濯機について, 浴量・浴比・時間を変えて洗浄を行い, 洗浄のために消費された機械エネルギーを熱量法により求め, 機械エネルギーと洗浄率ならびに布のほつれとの関係を検討した.結果はつぎのとおりである.
1) 布を加えることにより増加した機械エネルギー (エネルギー増分) が, 布に加えられた機械エネルギーに相当するものと仮定した場合, 単位布重量当りのエネルギー増分すなわち単位重量当りの布に加えられたエネルギーは, 浴比が低いほど低い.
2) 洗浄率と単位布重量当りのエネルギー増分の対数の間には, 浴量・浴比・洗浄時間によらず一つの直線関係が認められ, 洗浄率は洗浴の温度・組成が一定であれば, 浴比が変っても布に加えられた機械エネルギーによって定まることが確認された.
3) 布のほつれと単位布重量当りのエネルギー増分の平方根の間には, 浴量・浴比・洗浄時間および洗剤の有無によらず一つの直線関係が認められ, 前報の仮説が確認された.
4) 洗浄率とほつれの対数の間には, 浴量・浴比・洗浄時間によらず一つの直線関係が認められる.従って一定の洗浄率を得ようとすれば, それに対応するほつれが生じるわけで, 浴量・浴比・洗浄時間を変えても両者の関係を変えることはできない.

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