1990 年 31 巻 12 号 p. 591-595
水分に対して異なる挙動を示す親水性素材と疎水性素材よりなる2種の衣服が, 温熱生理と衣服内温度にどのように異なる反応を生じるかを調べる目的で, アクリル100%と綿100%のトレーニングウェア着用時について, 6人の健康な成人女子を対象として実験を行なった.得られた主な結果は次の通りである.
1) 環境温37℃において発汗後, 環境温を20℃に下降させた際, アクリル着用時には綿着用時に比べ, 衣服内温度と平均皮膚温が有意に下降しにくい.
2) アクリル着用時には環境温の上昇下降にともない, 直腸温が上昇しやすく下降しやすかった.