繊維製品消費科学
Online ISSN : 1884-6599
Print ISSN : 0037-2072
ISSN-L : 0037-2072
分散染料によるナイロン繊維の泡沫染色に関する研究 (第1報)
―フィルム巻層法によるナイロン6フィルムの染色性についての検討―
小林 政司皆川 基
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 31 巻 4 号 p. 175-182

詳細
抄録
フィルム巻層法を用い泡沫染色における分散染料のナイロン6フィルムへの拡散について速度論的考察を行うとともに, 同法により得られるフィルム巻層表面の染着量からも考察を試み次の結果を得た.
1) フィルムの吸光度曲線の比較から, フィルム上に吸着した染料は染色方法, 界面活性剤の存在などにかかわらず同じ状態で存在している.また拡散係数, 拡散の活性エネルギーの検討から, 分散染料のナイロン6フィルム内部での拡散のメカニズムは, 浸染と泡沫染色法による相違は認められない.
2) 泡沫染色においては, 浸染に比し大きな表面染着量を示す傾向にあり, 染色に寄与できる分散染料の濃度が高あられると考えられる.
3) 分散染料―界面活性剤間の相互作用は, 親水性の大きい陰イオン界面活性剤よりも親水性の小さい非イオン界面活性剤との相互作用の方が大きくなる傾向がある.しかしながら, 分散染料のナイロン6フィルム内部での拡散に界面活性剤の種類の影響は非常に小さいと考えられる.
4) 泡沫中の気/液界面の増加にともない泡沫中の分散染料濃度も増加することから, 気/液界面への相当量の分散染料の吸着が示唆された.
著者関連情報
© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top