繊維製品消費科学
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5℃の環境下における3タイプの寝袋の温熱生理学的意義
川端 厚子登倉 尋實清川 寛二宮 徳数
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1995 年 36 巻 1 号 p. 132-137

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抄録

本研究は, 3タイプの寝袋が体温調節反応に及ぼす影響を調べるために環境温度5℃に設定した人工気象室の中で夜間睡眠実験を行った.寝袋Aは, 上半身サイドに下半身サイドより厚く綿が入っており, 寝袋Bは, 下半身サイドが上半身サイドより厚く綿が入っており, 寝袋Cは, 上, 下ともに同じ量の綿が入っている.3タイプとも綿の重量は同じで1, 880gである.実験は, 寒い所でも深い眠りを得るためには体の上半身サイドか, 下半身サイドのどちらの側を厚くして保温すればよいかという知見を得るために行った.被験者は22時30分にA.B.Cのいずれかの寝袋を使用して就寝し, 翌朝6時30分に起床した.直腸温と皮膚温5か所及び心拍数は10分毎に計測した.主たる実験結果は以下のようである.1) 夜間睡眠中の直腸温は, 寝袋Bの場合に最も低く保たれ寝袋Cでは中間であり, 寝袋Aの場合に最も高かった.2) 足の裏と足の甲の皮膚温は, 寝袋Bの場合が最も高かった.3) 胸の皮膚温は, 寝袋Aが最も高かった.4) 心拍数は直腸温と類似した傾向を示した.5) 被験者の殆どは寝袋Bを好んだ.

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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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