繊維製品消費科学
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人体の湿り感覚 (第1報) ―全身の湿り感覚感受性―
田村 照子小柴 朋子
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1995 年 36 巻 1 号 p. 125-131

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抄録
人体の湿り感感知のメカニズムを明らかにするため, 気温25・31・37℃, 相対湿度30%~80%と変化させる条件下に, 成人女性24名を暴露させ, 全身湿り感および生理的・心理的反応を検討した.また気温31℃で, 同様の湿度変化をする条件下に, 乾燥空気を吸入させて全身暴露し, 同様に調査した.
全身湿り感の感受性は室温の上昇に伴い上昇した.乾燥空気を吸入すると全身湿り感は低下した.
これらの結果から人体と環境との間の体熱平衡から要求される蒸発放熱量 (Ereq) と人体からの実際の蒸発放熱量 (Esk) は, 全身の湿り感受性の主たる修飾要因であることが示された.
人体の湿り感覚は, Gaggeにより提案された皮膚濡れ率とよい相関を示したが, 実際の蒸発量と体熱平衡から求められる蒸発量との比, 湿り快適指数 (H.C.I.=Esk/Ereq) とも相関が高かった.
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© 社団法人 日本繊維製品消費科学会
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