布の汚れの程度をあらわすものとして, 布の表面反射率がその簡便さと視覚的な汚れの概念と直接結びつくなどの長所のために, しばしばよく用いられる.また, 洗浄率などもこれをもとにして算出されている.しかし, 反射率は単に布上の汚れ粒子の濃度に一義的に比例せず, また, 汚れの濃度が同じであっても, 汚れ粒子の大きさ, 形状, 付着状態などによって反射率の値が異ることが認められている.
本報告では, Reesの使用した鉄のオキシン塩を汚れ粒子として使用し, 汚染法, 粒子の大きさ, 付着方法をかえて, それぞれの汚れ付着量と反射率の関係を実験的にもとめた.
汚れ付着量と反射率について, 従来から知られている関係式の検討をおこなった.さらに, 粒子の被覆度と会合度の2つのパラメーターを使用したReesの誘導した式に実験結果を当てはめて両パラメーターを求め, 汚染法, 粒子の大きさ, 撥水加工などの影響, 洗浄後の汚れ粒子の状態の変化などについて議論した.