雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
飛騨山脈, 立山・剱山域の3つの多年性雪渓の氷厚と 流動-日本に現存する氷河の可能性について-
福井 幸太郎飯田 肇
著者情報
キーワード: 氷河, 多年性雪渓, 立山, 剱岳, 流動
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 74 巻 3 号 p. 213-222

詳細
抄録
飛騨山脈,剱岳にある小窓雪渓および三ノ窓雪渓で,2011 年春にアイスレーダー観測を行い,厚さ30m以上,長さ900~1200 m に達する日本最大級の長大な氷体の存在を確認した.同年秋に行った高精度GPSを使った流動観測の結果,小窓,三ノ窓両雪渓の氷体では,1 ヶ月間に最大30cm を超える比較的大きな水平方向の流動が観測された.流動観測を行った秋の時期は,融雪末期にあたり,積雪荷重がもっとも小さく,流動速度が1年でもっとも小さい時期にあたると考えられている.このため,小窓, 三ノ窓両雪渓は, 日本では未報告であった1年を通じて連続して流動する, 現存する「氷河」であると考えられる.立山東面の御前沢雪渓では,2009 年秋にアイスレーダー観測を行い,雪渓下流部に厚さ27m , 長さ約400 m の氷体を確認した.2010 年と2011 年の秋に高精度GPS を使って氷体の流動観測を行った結果, 誤差以上の有意な水平方向の流動が観測された. 流動速度は1ヶ月あたり10cm 以下と小さいものの, 2年連続で秋の時期に流動している結果が得られたため, 御前沢雪渓も現存する「氷河」であると考えられる.
著者関連情報
© 2012 公益社団法人 日本雪氷学会
次の記事
feedback
Top