日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第12回大会
セッションID: P1-1
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ポスター発表1 知覚・感性,社会的認知,発達・教育・学習,一般
絵画の美しさは時間知覚に影響するか
時間再生法による検討
*新井 志帆子川畑 秀明
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抄録

時間は,意識された時には既に過去であるため,時間知覚には記憶の働きが関与していると考えられる。既に多くの研究により,情動が時間知覚に関与していることも示されている。本研究では, 絵画鑑賞による美的経験が,短い時間の記憶にどのような影響を及ぼすのかについて,円形刺激の提示時間について絵画刺激の提示時間で再現するという,時間再生法を用いて検討した。実験の結果,提示時間が短いほど過大評価されやすく,長いほど過小評価されやすいVierordt’s Lawが示唆された。一方,美しさ評定の違いによる時間の再現への影響は確かめられなかった。これまでに短い時間と長い時間の知覚の神経機構の違いや,特定の情動が短い時間知覚に影響を及ぼすという報告がなされている。本研究の結果は,美的経験は情動より気分に近い感情であり,短い時間よりも長い時間へ影響を及ぼす可能性が示唆された。今後は,より長い提示時間の再生法による検討をする必要がある。

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© 2014 日本認知心理学会
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