雪結晶の分類は, Magono and Lee(1966) の気象学的分類(以下MLと略記)が用いられることが多いが,この分類を基本として極域での観測結果を加え,新たに雪結晶のグローバル・スケール分類(略してグローバル分類)を提唱する.この分類は,MLに準じて,雪結晶の特徴的な形状および成長の型による相違に着目して作成した.MLと比較すると,グローバル分類は以下のような特徴がある.MLのN:針状結晶とC:角柱状結晶を統合して新分類では『C:柱状結晶群』とした.また,MLのP:板状結晶のP1:正規六花やP2:変遷六花などを『P:板状結晶群』として,【P1:角板状結晶】,【P2:扇状結晶】などのように,具体的な結晶形がイメージできるように整合性を持たせて整理・統合した.さらに,ML のCP:角柱・板状組合せとS: 側面結晶を統合して『CP:柱状・板状結晶群』とした.MLのN2: 針状結晶組合せやC2: 角柱組合せなどのほか,P:板状結晶やCP:角柱・板状組合せなど,結晶同士の付着・併合したものを,まとめて新たに『A:付着・併合結晶群』として加えた.これまで中谷やMLの分類では対象外であったが,国際雪氷委員会が制定した実用分類(Schaefer, 1951; Mason, 1957; 1971)には含まれている霙,凍雨,雹に凍結雲粒などを加えて,新たに『H:その他の固体降水群』として加えた.その他の大分類の『R:雲粒付結晶群』,『G:初期結晶群』,『I:不定形群』などは一部名称の変更や,全体の整合性を考慮して,大筋では従来の分類を踏襲した.MLの気象学的分類は8大分類,31中分類,81小分類であったが,グローバル分類は8大分類,39中分類,121小分類となった.
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