抄録
雪氷藻類は,融雪期の雪氷表面に繁殖する光合成微生物で,その細胞が持つ色素によって雪を赤や緑に着色することが知られている.本研究は,富山県の立山連峰の室堂平周辺の残雪表面において,2014年と2015年の融雪期に現れた赤雪を採取し,藻類の色素構成の空間的および時間的変化を明らかにすることを目的とした.採取した赤雪から抽出した色素の吸光スペクトルを測定した結果,合計7か所に吸収極大が認められ,各サンプルは現れた吸収極大の組み合わせによって4つのタイプにわけることができた.分析の結果,赤雪の色素タイプは,時期や場所によって変化し,同じ赤雪でも含まれる色素構成は異なることがわかった.顕微鏡観察の結果,藻類細胞は形態によって7種類に分類することができ,サンプル中に含まれる各細胞形態の割合は,色素タイプによって異なることがわかった.このことは,赤雪の色素構成が異なる要因は,含まれる藻類の種構成または各藻類細胞が持つ色素構成の違いであることを示している.まだ詳しい要因はわからないが,立山に現れる赤雪は,年,季節,場所によって藻類の種および色素構成が多様に変化することがわかった.