抄録
極域などの寒冷圏は観測空白域が広がり,人工衛星観測の利用が重要な地域である.近年,衛星観測データの増加に伴い,そのデータの利活用を目的として,観測とモデルをつなぐデータ同化研究が活発になってきている.雪氷─大気・海洋結合モデルは,一般的に結合プロセスの予測可能性を改善する.こうした結合モデルにおけるデータ同化の役割(例えば,初期値の提供)は重要である.結合データ同化は大きく3つに分かれ,非結合,弱結合,ならびに強結合データ同化が存在する.本総説では,結合データ同化の概要,並びに海氷・海洋や寒冷陸域での研究例を紹介し,最後に今後の展望について述べる.結合データ同化研究は,観測データが乏しい寒冷圏のモニタリング手法として有効であり,今後の気候変動研究への応用や効率的な観測ネットワーク設計に適用できる.