2022 年 84 巻 4 号 p. 263-281
雪崩の流下形状や到達範囲,速度,衝撃力などの雪崩運動の解析を目的として,自由表面を持つ流れの解析への適用性や解析用の格子生成が不要などの長所を持つLagrange的解析手法の一つであるMoving Particle Simulation法(MPS法)を適用した雪崩数値シミュレーションの開発が進められてきた.本研究では,このシミュレーションモデルに対し,現在用いている圧力計算を陰的に扱う手法(Semi-Implicit MPS法)と比べて,大規模な解析に当たり計算の並列化などの高速化が適用可能な陽的な手法であるExplicit MPS法を適用し,数値シミュレーションモデルの改良および精度検証を行った.改良したモデルの解析と人工雪崩実験結果との比較の結果,雪崩の流下速度や範囲について,概ね妥当な解析結果が得られることが確認された.また,開発したシミュレーションモデルを雪崩災害事例の再現解析に適用することで,雪崩の速度や範囲などの災害状況の推定を含めた有用性などの確認を行った.