雪氷
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論文
発達・減衰過程を考慮した連続体モデルによる雪崩数値シミュレーション
竹林 洋史西村 浩一山口 悟伊藤 陽一安達 聖
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2022 年 84 巻 4 号 p. 283-296

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抄録

固液混相流である土石流・泥流を一流体連続体モデルとして扱った数値シミュレーションモデルの物性値を雪崩の値に置き換え,固気混相流である雪崩の発達・減衰過程を考慮した数値シミュレーションモデルを開発した.また,開発した雪崩の数値シミュレーションモデルを2020年2月に北海道のピンネシリ岳及び2019年3月に栃木県の茶臼岳で発生した雪崩に適用し,雪崩の流動現象の再現を試みた.その結果,ピンネシリ岳の雪崩の堆積域は,堆積場所,堆積域の大きさなど,現地の堆積域と近い値となった.また,雪崩の堆積量は発生域での雪の崩壊量の約5倍となっており,雪崩の発達過程を考慮した解析が可能となった.数値シミュレーションによると,ピンネシリ岳の雪崩は,斜面を平均約15m/sで流下した.流下するにつれて流動深は深くなり,一部の領域では8 mを超えている.雪崩発生から停止までの時間は約200 秒であった.茶臼岳で発生した雪崩は流動の様子がwebカメラで撮影されていた.そのため,撮影された写真を用いて雪崩の流下速度の再現性の検討を行った.その結果,数値シミュレーションにおいても観測された雪崩と同様に,発生から14秒で斜面下部の緩勾配域まで雪崩が到達しており,雪崩の流下速度の再現性も確認された.

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© 2022 公益社団法人 日本雪氷学会
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