2020/21年冬期,北海道の空知南部が大雪となり,岩見沢では最深積雪205 cmを記録し,2011/12年冬期の208 cmに次ぐ記録となった.そこで本研究は,岩見沢における大雪時の積雪層構造とその要因,地域経済や市民生活への影響,大雪の将来予測結果との照合について解析した.積雪断面観測は融雪出水直前期に計2回実施した.寒冷でしまり雪主体だった2011/12年冬期と比較すると,2月中旬以降の気温の高さや降雨の影響を受け,積雪深は同程度ながら,雪質はざらめ雪主体で帯水層や氷板も複数確認され,異なる特徴を示した.積雪水量は610 mmだった.今回の大雪の要因は,西よりの風に伴い日本海上の筋状雲の雲パターンが変わらず,岩見沢付近に継続的に流入する日が多かったことによる.さらに2月下旬には北海道西岸帯状雲が石狩湾上で筋状雲と合流し,これが岩見沢付近に達し大雪をもたらした.岩見沢では公共交通機関の運休や落雪による事故,老朽化した建物の倒壊など,地域経済や市民生活に大きな影響が生じた.岩見沢付近は高齢者の人口比が40 %に達し,雪の事故リスクが特に高く,対策が必要である.