雪氷
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Print ISSN : 0373-1006
雪の水力輸送に関する研究
第4報雪水二相流の管内流れの観察
白樫 正高佐藤 謙一佐藤 靖仁古塩 淳梅村 晃由脇屋 正一
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1984 年 46 巻 4 号 p. 163-170

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抄録

雪押込装置の開発および雪の分率測定方法の改良により, 円管内の雪水二相流について精度の良い安定した実験が可能となった.これらを用いて, 雪水二相流の流れの状態と流速Um, 雪の分率C, 管径D, 雪質, 管の姿勢の影響を調べた.流れの観察から, 雪水二相流の流れの状態は, 概略 (1) 塊状流れ (Cluster Flow), (II) 均質混合相中に雪塊が浮遊する流れ, (III) 均質流れ (Homogeneous Flow), (IV) 柱状流れ (Cylindrical Flow) に分類される事がわかった.このうち, Um, Cともに小さい場合に見られる塊状流れおよびCが大きい場合の柱状流れは, プラスチックビーズのような互に付着しにくい固体粒子を固相とする固液二相流には見られない, 雪水二相流に特有の流れである.
これらの流れの状態はほぼ流速Um, 雪の分率C, 管径Dにより決り, C, とフルード数Frにより一般的に表される事が示された.雪質および管の姿勢は流れの状態にあまり強く影響しなかったが, 概略次のような傾向が見られた.新雪はざらめ雪よりも混合されにくく, 従ってざらめ雪の場合には均質流れとなるFrにおいても新雪の場合には塊状の雪が存在した.また新雪の場合の方がより小さいCの値で柱状流れとなった.管が水平の場合, 塊状流れにおける雪塊は鉛直管の場合より管軸方向に伸びた形となり, 管の上壁寄りを移動した.均質流れおよび柱状流れに対しては管の姿勢による影響は見られなかった.

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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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